そのキャットフード大丈夫?原材料表示の読み方と失敗しない選び方

そのキャットフード大丈夫 食事・栄養管理

ペットショップの棚にずらりと並ぶキャットフード。「無添加」「グレインフリー」「プレミアム」など、パッケージには魅力的な言葉があふれていて、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。値段も1袋数百円のものから数千円のものまでさまざまで、「高いほうが体にいいの?」と悩む方も多いでしょう。

実は、キャットフードの良し悪しを判断するための情報は、パッケージの裏面の小さな文字に書かれています。表の宣伝文句ではなく、裏面の「目的」「原材料名」「成分値」を読み解けるようになれば、自分で中身を確かめて選べるようになります。

この記事では、キャットフードのパッケージで見るべき表示と、その読み方を図解でわかりやすく解説します。総合栄養食と一般食の違い、原材料が使用量の多い順に並ぶルール、成分値の見方、ウェットとドライを正しく比べる計算方法、添加物の考え方、そして宣伝文句に惑わされないためのポイントまでまとめました。

この記事でわかること

  • パッケージで必ず確認したい6つの表示
  • 「総合栄養食」「一般食」「療法食」の違い
  • 原材料名と成分値の正しい読み方
  • ウェットとドライを比べる「乾物量換算」の計算方法
  • 添加物の見方と、うのみにしないほうがいい宣伝文句

結論:「目的→原材料の先頭→成分値」の順に見る

キャットフードの表示を見るときは、次の3つの順番でチェックすると、迷わずに判断できます。

  1. 目的:毎日の主食にするなら、必ず「総合栄養食」と書かれたものを選ぶ
  2. 原材料の先頭:原材料は使用量の多い順に並ぶ。先頭に肉や魚が書かれているかを確認
  3. 成分値:たんぱく質や脂質の量が、猫の年齢や体型に合っているかを確認

猫は、肉を主食とする「完全肉食動物」です。人や犬に比べて、たんぱく質をたくさん必要とし、タウリンやアラキドン酸など、体の中で十分に作れない栄養素を食べ物からとる必要があります。そのため、主食にするフードは、猫に必要な栄養がバランスよく含まれた総合栄養食であることが大前提になります。

そのうえで、原材料と成分値から、そのフードがどんな素材で作られ、どんな栄養バランスになっているかを確かめます。価格の高い安いや、パッケージの印象だけで選ぶのではなく、中身を確かめて選ぶことが、猫の健康を守る第一歩です。猫に必要な栄養素については「猫に必要な栄養素とは?タウリン不足が危険な理由と年代別の食事管理」でくわしく解説しています。

パッケージで見るべき6か所

日本で販売されているキャットフードには、法律と業界のルールによって、いくつかの表示が義務づけられています。パッケージの裏面を見ると、次のような情報が書かれているはずです。

キャットフードのパッケージで見るべき表示。目的(総合栄養食か一般食か療法食か)、原材料名(使用量の多い順に記載)、成分値(たんぱく質・脂質・繊維・灰分・水分)、給与量(体重別の1日量)、賞味期限、原産国名と事業者名。まず目的、次に原材料の先頭、最後に成分値の順で確認する
表の面の宣伝文句より、裏面の小さな文字にこそ大切な情報があります

「ペットフード安全法」という法律では、猫用のフードに、名称(猫用であることがわかるもの)、原材料名、賞味期限、事業者の名前と住所、原産国名の5つを日本語で表示することが義務づけられています。さらに、業界の自主ルールである「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって、目的、内容量、給与方法、成分も表示されているのが一般的です。

このうち、フード選びで特に大切なのが、目的・原材料名・成分値の3つです。給与量は、フードを与えるときの量の目安になります。賞味期限は開封前の期限なので、開封後はできるだけ早く使い切ることが大切です。

原産国名は、最終的に加工された国を示しています。原材料の産地とは限らない点に注意しましょう。たとえば、海外産の原材料を使って日本で加工したフードは「原産国:日本」と表示されます。原材料の産地が気になる場合は、メーカーのホームページで確認したり、問い合わせたりするとよいでしょう。

「総合栄養食」「一般食」「療法食」の違い

パッケージの「目的」の欄には、そのフードが何のためのものかが書かれています。主な種類は次のとおりです。

目的の表示 どんなフードか 与え方
総合栄養食 そのフードと水だけで、猫に必要な栄養をとれるように作られたもの 毎日の主食に
間食(おやつ) ご褒美やコミュニケーションのためのもの 1日の必要量の1割程度まで
一般食・副食など おかずタイプ。栄養が偏っているもの 総合栄養食と組み合わせる
療法食 特定の病気の食事療法のために栄養を調整したもの 獣医師の指導のもとで

注意したいのは、見た目がおいしそうなウェットフードの中に、「一般食」や「副食」と書かれたものが多いことです。これらは、猫に必要な栄養がすべて含まれているわけではないため、これだけを毎日の主食にしていると、栄養が偏ってしまいます。一般食を与える場合は、総合栄養食と組み合わせて使いましょう。

療法食は、腎臓病や尿路結石など、特定の病気の食事療法のために作られたフードです。健康な猫に与えると、かえって体に負担がかかることもあるので、必ず獣医師の指導のもとで使ってください。療法食については「猫の療法食は自己判断NG?病気別の種類・選び方」で紹介しています。

原材料名の読み方

原材料名は、原則として使用量の多い順に書かれています。つまり、最初に書かれている原材料が、そのフードの中で一番多く使われているものです。原材料名を読むときは、次のポイントを確認しましょう。

  • 先頭に肉や魚が書かれているか:チキン、ターキー、サーモン、まぐろなど、動物性の原材料が最初にあるのが理想
  • 具体的な名前で書かれているか:「チキン」「サーモン」のように、何の肉・魚かがわかるほうが安心
  • 穀物が上位に集中していないか:とうもろこし、小麦、米などが先頭近くに並んでいる場合は、穀物の割合が多い
  • 同じ素材が分けて書かれていないか:「とうもろこし」「コーングルテンミール」のように分けて書くと、1つ1つの順位が下がって見える

原材料の中には、少しわかりにくい言葉もあります。たとえば「チキンミール」は、鶏肉から水分と脂肪を取り除いて粉末にしたものです。生の「チキン」は水分を多く含むため、重さでは先頭にきても、加工後の栄養としてはミールのほうが多いこともあります。「ミール」だから質が悪い、とは一概にはいえません。

「肉類(チキン、ビーフなど)」のように、まとめて書かれている場合もあります。「〇〇副産物」は、肉以外の内臓などを含むものです。内臓は栄養豊富な部位でもありますが、何がどのくらい含まれているかがわかりにくいため、気になる場合はメーカーに問い合わせてみましょう。

原材料名には、添加物もすべて書かれています。ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類(タウリンなど)は、猫に必要な栄養を補うために加えられているもので、総合栄養食には欠かせないものです。

成分値の読み方

成分値は、フードに含まれる主な栄養素の量を示したものです。多くのフードでは、次の5つが表示されています。

成分 表示のしかた 意味 ドライの目安
粗たんぱく質 〇%以上 体をつくる材料。猫には特に大切 30%以上が多い
粗脂肪 〇%以上 エネルギー源。多いと太りやすい 10〜20%程度
粗繊維 〇%以下 お腹の調子や毛玉ケアに関わる 数%程度
粗灰分 〇%以下 ミネラルの総量 10%前後以下
水分 〇%以下 ドライは約10%、ウェットは約80% 10%以下

「粗」とついているのは、分析方法の特性上、その成分とよく似た別の成分も含めて測っているためです。「以上」「以下」とあるのは、少なくともこれだけは含まれている、多くてもこれ以下である、という保証の値です。実際の量は、表示の値とぴったり同じではありません。

成分値は、猫の年齢や体型によって見方が変わります。成長期の子猫には、たんぱく質と脂肪がしっかり含まれたフードが向いています。太り気味の猫には、脂肪が控えめで、カロリーの低いフードを選ぶとよいでしょう。パッケージに100gあたりのカロリー(代謝エネルギー)が書かれていれば、フード同士を比べるのに役立ちます。

ウェットとドライを比べる「乾物量換算」

ドライフードとウェットフードの成分値を並べて見ると、ドライのほうがたんぱく質がずっと多いように見えます。しかし、これは正しい比べ方ではありません。ウェットフードは約80%が水分なので、そのぶん、ほかの成分の割合が小さく表示されているのです。

水分量の違うフードを比べるときは、水分を取り除いた状態での割合、つまり「乾物量」に換算して比べます。計算方法は簡単です。

ウェットとドライのたんぱく質を比べる乾物量換算。ドライフードは粗たんぱく質32%・水分10%なので、32÷(100−10)×100で約36%。ウェットフードは粗たんぱく質10%・水分80%なので、10÷(100−80)×100で50%。表示の数字はドライが多く見えても、水分を除くとウェットのほうがたんぱく質が多いことがある
水分量の違うフードを比べるときは、水分を除いた「乾物量」で比べるのが正確です

この例では、表示の数字だけを見るとドライのほうがたんぱく質が3倍以上多いように見えますが、水分を除いて比べると、ウェットのほうがたんぱく質の割合が高いことがわかります。同じように、脂肪や灰分も乾物量に換算すれば、ドライとウェットを公平に比べられます。

ウェットフードは、水分をたくさんとれるのも大きなメリットです。猫はもともと砂漠で暮らしていた動物の子孫で、あまり水を飲まない傾向があります。水分不足は、尿路結石や腎臓病のリスクにつながることもあるため、ドライフードだけでなく、ウェットフードを組み合わせるのもよい方法です。

ドライとウェットを組み合わせるときは、カロリーにも注意しましょう。ドライフードは100gあたり350〜400kcal前後のものが多いのに対し、ウェットフードは100gあたり70〜100kcal前後のものが多く、同じ重さでもカロリーは大きく違います。ウェットフードを足した日は、そのぶんドライフードを減らして、1日の合計カロリーが増えすぎないように調整してください。

添加物の見方

「添加物」と聞くと、体に悪いものというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、キャットフードの添加物には、猫の健康に欠かせないものや、フードの品質を保つために必要なものも多く含まれています。

種類 主な例 役割と考え方
栄養添加物 ビタミン類、ミネラル類、タウリン 猫に必要な栄養を補う。総合栄養食には欠かせない
酸化防止剤 ミックストコフェロール(ビタミンE)、ローズマリー抽出物、BHAなど 脂肪の酸化を防ぎ、品質を保つ。量は法律で規制されている
保存料 ソルビン酸カリウムなど カビや細菌の増殖を防ぐ
着色料 各種の色素 見た目を整えるためのもので、猫にとっての必要性は低い
香料・調味料 各種エキスなど 食いつきをよくする

酸化防止剤は、フードに含まれる脂肪が酸化して、品質が落ちたり、体に悪い物質ができたりするのを防ぐためのものです。脂肪が酸化したフードは、においが悪くなり、猫の健康にもよくありません。ペットフード安全法では、一部の添加物について、フードに含まれる量の上限が定められています。

着色料は、猫が色で食べ物を選ぶわけではないため、飼い主へのアピールのために使われていることが多い添加物です。気になる場合は、着色料を使っていないフードを選ぶとよいでしょう。

宣伝文句に惑わされないために

キャットフードのパッケージの表面には、飼い主の心をつかむ言葉がたくさん並んでいます。しかし、こうした宣伝文句の多くは、法律で明確に定義されているわけではありません。

キャットフード選びで確認したい表示と、うのみにしない宣伝文句。確認したいのは総合栄養食の表示、原材料の先頭が肉や魚、年齢に合った表示、成分値と給与量、賞味期限と保存方法。うのみにしないのは無添加、グレインフリーなら安心、人間が食べられる品質、獣医師推奨、プレミアム・ナチュラル
宣伝文句の多くは法律で定義されていません。裏面の表示で中身を確かめましょう

「無添加」という言葉は、特に注意が必要です。何が無添加なのかは、メーカーによってまちまちです。着色料や保存料を使っていないという意味で使われることが多いですが、総合栄養食である以上、ビタミンやミネラルなどの栄養添加物はほぼ必ず入っています。「無添加」と書かれていても、何を使っていないのかを原材料名で確認しましょう。

「グレインフリー(穀物不使用)」のフードは、穀物にアレルギーがある猫には役立ちますが、すべての猫にとって穀物が悪いわけではありません。加熱処理された穀物は、猫も消化することができます。また、グレインフリーのフードでも、穀物の代わりにいもや豆類が多く使われていることがあります。

「人間が食べられる品質」「ヒューマングレード」も、統一された基準があるわけではありません。「獣医師推奨」も、どんな獣医師がどんな根拠で推奨しているのかは、商品によって違います。こうした言葉は参考程度にとどめ、裏面の表示で中身を確かめることが大切です。

年齢表示と給与量の読み方

総合栄養食には、どの成長段階の猫に向けたものかが表示されています。「子猫用」「成猫用」「全成長段階用」「7歳以上用」などです。

  • 子猫用(成長期用):たんぱく質やカロリーが多め。生後12か月ごろまでが目安
  • 成猫用(維持期用):1歳以上の健康な猫の体を維持するためのもの
  • 全成長段階用:子猫から成猫まで使えるように作られたもの。成猫にはカロリーが多いことも
  • シニア用:カロリーを控えめにしたり、腎臓に配慮してリンを調整したりしたものが多い

「シニア用」の年齢の区切りには、はっきりした決まりがありません。7歳以上、11歳以上など、メーカーによって違うので、猫の体型や健康状態を見ながら切り替えのタイミングを考えましょう。

給与量は、猫の体重ごとに1日に与える量の目安が書かれています。ただし、これはあくまで一般的な目安です。同じ体重でも、活動量や避妊・去勢手術の有無、年齢によって、必要なカロリーは変わります。給与量を参考にしながら、猫の体型を見て量を調整してください。あばら骨が軽くさわってわかり、上から見て腰に少しくびれがある状態が理想です。

失敗しないフード選びのチェックリスト

ここまでの内容をふまえて、キャットフードを選ぶときのチェックリストをまとめました。お店で迷ったときは、次の順番で確認してみてください。

  1. 「総合栄養食」と書かれているか:主食にするなら必須
  2. 猫の年齢に合っているか:子猫用・成猫用・シニア用など
  3. 原材料の先頭が肉や魚か:具体的な素材名で書かれているとなお安心
  4. 成分値が猫の体型に合っているか:太り気味なら脂肪やカロリーが控えめなものを
  5. 賞味期限に余裕があるか:開封後1か月程度で使い切れる量のものを選ぶ
  6. 続けられる価格か:フードは毎日のもの。無理なく続けられることも大切

どんなに良いフードでも、猫が食べてくれなければ意味がありません。新しいフードを試すときは、まず小さな袋やお試しサイズを買って、猫の食いつきや、うんちの状態を確かめてから、大きな袋に切り替えるとよいでしょう。

フードを切り替えるときは、今までのフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、1〜2週間ほどかけて割合を増やしていきます。急に切り替えると、お腹を壊したり、食べなくなったりすることがあります。食事の基本や切り替え方は「猫の食事と栄養管理の基本」で解説しています。

保存方法と賞味期限

フードは、選び方だけでなく、保存のしかたによっても品質が変わります。特にドライフードは、開封すると空気に触れて脂肪の酸化が進み、風味や栄養が落ちていきます。

フードの種類 開封後の目安 保存のポイント
ドライフード 1か月程度で使い切る 袋の口をしっかり閉じ、密閉容器に入れて涼しい場所へ
ウェットフード(缶・パウチ) その日のうちに 残りは別の容器に移して冷蔵し、翌日までに使い切る
おやつ 商品の表示に従う 開封後は湿気を避け、早めに使い切る

ドライフードは、大袋のほうが割安ですが、使い切るまでに時間がかかると、品質が落ちてしまいます。猫の数や食べる量に合わせて、1か月程度で使い切れる大きさの袋を選びましょう。小分けパックになっている商品も便利です。

ウェットフードは、冷蔵庫から出してすぐに与えると、冷たくて食いつきが悪くなることがあります。少し温めて人肌くらいにすると、香りが立って食べやすくなります。お皿に出したまま長時間置いておくと傷みやすいので、食べ残しは片付けましょう。

キャットフードの表示でよくある質問

Q
値段の高いフードほど、体にいいのですか?
A
値段の高さと、猫にとっての良さは必ずしも一致しません。原材料や製造方法によって価格は変わりますが、手ごろな価格でも、総合栄養食として必要な栄養をきちんと満たしたフードはたくさんあります。表示を確認して、猫の年齢や体型に合い、無理なく続けられるものを選びましょう。
Q
穀物が入っているフードは避けたほうがいいですか?
A
穀物にアレルギーがある猫でなければ、必ずしも避ける必要はありません。加熱処理された穀物は、猫もある程度消化できます。ただし、原材料の先頭が穀物で、肉や魚が少ないフードは、完全肉食動物である猫には向いていないこともあります。原材料の順番と成分値をあわせて確認しましょう。
Q
海外産のフードと国産のフード、どちらが安心ですか?
A
日本で販売されるフードは、海外産でも国産でも、ペットフード安全法の基準を満たす必要があります。原産国は最終加工地を示すため、国産でも原材料は海外産ということもあります。産地だけで判断せず、原材料や成分値、メーカーの情報公開の姿勢なども含めて選びましょう。

まとめ:表示を読んで、猫に合ったフードを選ぼう

キャットフードの良し悪しは、パッケージの宣伝文句ではなく、裏面の表示から判断できます。表示の読み方を知っておけば、たくさんの商品の中から、自分の猫に合ったフードを自信を持って選べるようになります。

  • 主食にするなら、必ず「総合栄養食」を選ぶ
  • 原材料は使用量の多い順。先頭に肉や魚があるかを確認
  • 成分値の「以上」「以下」は保証値。猫の年齢や体型に合わせて見る
  • ウェットとドライは、水分を除いた乾物量に換算して比べる
  • 「無添加」「グレインフリー」などの言葉はうのみにせず、裏面で中身を確認
  • ドライフードは開封後1か月程度で使い切れる量を選ぶ

次にキャットフードを買うときは、ぜひパッケージを裏返して、目的・原材料・成分値の3つを確認してみてください。表示を読む習慣がつけば、今あげているフードのことも、もっとよくわかるようになります。

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