「猫を飼っている人って、性格悪そう」「猫好きは自分勝手でわがまま」。ネットの掲示板やSNSで、こんな言葉を見かけたことはありませんか。猫と暮らしている身としては、なんとも複雑な気持ちになりますよね。
猫は、気まぐれでマイペース、人に媚びない動物というイメージがあります。そのせいか、猫を選ぶ人も「猫と同じように、自分勝手で冷たい人なのでは」と思われてしまうことがあるようです。
では、実際のところはどうなのでしょうか。結論からいえば、「猫を飼っている人は性格が悪い」という根拠は見当たりません。海外では、犬派と猫派の性格の違いを調べた研究がいくつか行われていて、猫派には「好奇心が強い」「繊細」「内向的」といった傾向があることがわかっています。この記事では、そうした研究結果を紹介しながら、猫飼いの性格がなぜ誤解されやすいのかを、猫と暮らす愛猫家の立場から解説します。
この記事でわかること
- 「猫飼いは性格が悪い」と言われる理由
- 海外の研究でわかった猫派の性格の傾向
- 猫飼いの特徴が「性格が悪い」と誤解されやすい理由
- 猫と暮らすことで育ちやすい力
- ペットの好みで人の性格を決めつけないほうがいい理由
結論:「性格が悪い」は偏見。猫派は好奇心が強く、繊細な傾向
最初に、この記事の結論をまとめます。
- 「猫飼いは性格が悪い」という科学的な根拠はない:研究でわかっているのは、性格の「良い・悪い」ではなく、「どんなタイプが多いか」という傾向です
- 猫派は、開放性が高く、内向的で繊細な傾向:好奇心が強く、独創的で、一人の時間を大切にするタイプが多いとされています
- その性質が「付き合いが悪い」「冷たい」と誤解されやすい:一人の時間を好む、相手に踏み込みすぎないといった特徴が、外からはそっけなく見えることがあります
- 性格は個人差が大きく、ペットで決まるわけではない:猫好きにも社交的な人はたくさんいますし、犬と猫の両方が好きな人もいます
「猫を飼っている人は性格が悪い」という言葉は、猫のイメージを人に重ねた、ただの偏見にすぎません。猫と暮らす人たちの本当の姿を、研究とあわせて見ていきましょう。
なぜ「猫飼いは性格が悪い」と言われるのか
そもそも、なぜ「猫を飼っている人は性格が悪い」というイメージが生まれるのでしょうか。いくつかの理由が考えられます。
- 猫のイメージを飼い主に重ねている:「猫は気まぐれで自分勝手」というイメージが、そのまま飼い主にも当てはめられてしまう
- 犬派との比較:人懐っこく忠実な犬と比べて、猫やその飼い主が「冷たい」と見られやすい
- 一部の猫好きの言動:猫が苦手な人を否定するなど、押し付けがましい猫好きの印象が広がっている
- インドア志向への誤解:家で過ごすことを好む人が多く、「付き合いが悪い」と思われやすい
- ネットの極端な意見:印象的な体験談や決めつけが、SNSで拡散されやすい
特に大きいのは、「ペットは飼い主に似る」という思い込みでしょう。猫の自由気ままな性質を見て、「こんな動物を好む人は、きっと同じように自分勝手に違いない」と考えてしまうのです。でも、猫が自由に見えるのは、単独で狩りをして暮らしてきた動物としての習性であって、飼い主の性格とは関係ありません。
また、猫好きの一部に、猫が苦手な人に対して攻撃的な言動をとる人がいるのも事実です。こうした一部の人の印象が、「猫好きは性格が悪い」というイメージを強めてしまっている面もあるでしょう。この点については、「猫好きが攻撃的・押し付けがましいと嫌われる理由|猫が苦手な人へのマナー」で、猫好きの側から考えています。
研究でわかった猫派の性格の傾向
では、猫派と犬派の性格には、実際に違いがあるのでしょうか。海外では、この疑問を調べた研究がいくつか発表されています。代表的なものを見てみましょう。

よく知られているのが、アメリカのテキサス大学の心理学者、サミュエル・ゴズリング教授らの研究です。約4,500人を対象に、人の性格を5つの側面からとらえる「ビッグファイブ」という考え方で調べたところ、猫派は「開放性」が高い傾向がありました。開放性とは、好奇心が強く、新しいことや芸術、抽象的な考えに関心を持つ性質のことです。一方で、犬派は外向性、協調性、誠実性が高い傾向が見られました。
また、アメリカのキャロル大学で約600人の大学生を対象に行われた調査では、犬派は活発で外向的な傾向がある一方、猫派は内向的で繊細、型にはまらない傾向があることが報告されています。さらに、この調査では、猫派のほうが知能テストの得点がやや高かったという結果も出ています。
ただし、どちらの研究も「平均するとそういう傾向がある」というものです。すべての猫派が内向的で好奇心旺盛というわけではありませんし、差もそれほど大きなものではありません。研究者自身も、ペットの好みと性格の関係は、あくまで傾向のひとつにすぎないと述べています。
ビッグファイブで見る猫派・犬派の違い
研究で使われている「ビッグファイブ」は、人の性格を5つの側面から測る、心理学でよく使われる考え方です。研究で見られた猫派・犬派の傾向を、わかりやすく表にまとめてみました。
| 性格の側面 | どんな性質か | 傾向 |
|---|---|---|
| 開放性 | 好奇心・想像力・新しいものへの関心 | 猫派が高い傾向 |
| 外向性 | 社交的・活発・人といると元気になる | 犬派が高い傾向 |
| 協調性 | 思いやり・人と合わせる | 犬派が高い傾向 |
| 誠実性 | 計画的・きちんとしている | 犬派が高い傾向 |
| 神経症傾向 | 不安や緊張を感じやすい・繊細 | 猫派が高い傾向 |
この表だけを見ると、「猫派は協調性が低くて、不安を感じやすい」と、ネガティブに受け取る人もいるかもしれません。でも、性格の側面には、良い・悪いはありません。
たとえば、協調性が高い人は人と合わせるのが得意な反面、自分の意見を言いにくいことがあります。協調性がそれほど高くない人は、周りに流されず、自分の考えをしっかり持っているともいえます。神経症傾向が高い人は、不安を感じやすい反面、危険や変化に敏感で、細やかな気配りができることも多いのです。
つまり、研究でわかった猫派の傾向は、「性格が悪い」ということではなく、「好奇心が強く、自分の考えを持ち、繊細な感性を持つ人が多い」ということです。これを「性格が悪い」と読み替えてしまうのは、明らかに偏見だといえるでしょう。
猫飼いの特徴が「性格が悪い」と誤解される理由
猫派に多いとされる性質は、ときに周りから誤解されやすいものでもあります。「性格が悪い」と見られがちな特徴と、その本当の意味を整理してみましょう。

たとえば、飲み会やイベントより、家で猫と過ごす時間を大切にする人がいます。周りからは「付き合いが悪い」と見られるかもしれませんが、本人にとっては、一人の時間で心を整えることが、元気の源なのです。内向的な人は、人と過ごすとエネルギーを使い、一人の時間で回復するといわれています。これは性格の良し悪しではなく、エネルギーの充電方法の違いにすぎません。
また、猫好きには、相手に踏み込みすぎず、ほどよい距離感を保つ人が多いといわれます。それが「冷たい」「そっけない」と誤解されることもありますが、実際には、相手のペースや気持ちを尊重していることの表れでもあります。猫と暮らしていると、無理に近づくと逃げられ、待っていると寄ってきてくれる経験を何度もします。その経験が、人との付き合い方にも表れているのかもしれません。
「自分勝手」「マイペース」と言われる性質も、裏返せば、周りに流されず、自分で考えて判断できるということです。空気を読んで周りに合わせるのが得意な人もいれば、自分の軸をしっかり持っている人もいる。どちらも、社会にとって大切な存在です。
猫と暮らすことで育ちやすい力
猫派の性格の傾向は、もともとの性格だけでなく、猫と暮らす日々の中で育っていく面もあるのではないでしょうか。猫は言葉を話しません。だからこそ、猫と暮らす人は、さまざまな力を自然と身につけていきます。

猫は、体の不調を隠そうとする動物です。そのため、猫と暮らす人は、食欲やトイレの回数、毛づやや歩き方など、小さな変化に気づく観察力を身につけていきます。「なんだか今日は元気がないな」と気づけることが、病気の早期発見につながることも少なくありません。
また、猫は、自分が甘えたいときにだけ近づいてきて、気分が乗らないときはさっと離れていきます。猫と暮らす人は、相手のペースを尊重し、待つことを覚えます。無理に抱っこしようとすれば嫌がられ、そっとしておけば、そのうち膝に乗ってきてくれる。そんな経験の積み重ねが、人間関係でも、相手に無理強いしない姿勢につながっているのかもしれません。
そして何より、猫と暮らすことは、十数年、ときには20年以上にわたって、一つの命を預かり続けるということです。毎日のごはんとトイレの世話、定期的な健康診断、病気になったときの看病、そして最期の看取りまで。その責任を引き受けている猫飼いが「性格が悪い」とは、とても言えないのではないでしょうか。
「猫飼い=性格が悪い」を決めつけないほうがいい理由
ここまで、猫派の性格の傾向と、誤解されやすい理由を見てきました。最後に、ペットの好みで人の性格を決めつけることの問題点を整理しておきましょう。
- 研究は「傾向」であって、個人を決めるものではない:猫派にも社交的な人はいるし、犬派にも内向的な人はいる
- ペットを飼う理由は性格だけではない:住宅事情、仕事の忙しさ、家族構成などで、猫を選ぶ人も多い
- 犬と猫の両方が好きな人も多い:「犬派か猫派か」の二択に当てはまらない人もたくさんいる
- 決めつけは、相手を知る機会を奪う:「猫好きだから」と色眼鏡で見ると、その人の本当の良さが見えなくなる
日本では、散歩の必要がなく、ひとり暮らしや共働きでも飼いやすいことから、猫を選ぶ人が増えています。猫を飼っている理由が、性格ではなく、ライフスタイルに合っているから、という人も多いのです。
血液型で性格を決めつけることが、科学的な根拠に乏しい偏見だといわれるように、ペットの好みで人の性格を決めつけるのも、同じような偏見です。目の前の人を知りたいなら、ペットではなく、その人自身と向き合うことが何より大切です。
猫と飼い主の性格は似るのか
「ペットは飼い主に似る」とよくいわれますが、猫と飼い主の性格には関係があるのでしょうか。
イギリスのノッティンガム・トレント大学とリンカーン大学の研究チームが、3,000人あまりの猫の飼い主を対象に行った調査では、飼い主の性格と、猫の行動や健康状態に関係があるらしいことが報告されています。たとえば、神経症傾向が高い飼い主の猫は、行動上の問題を抱えていたり、ストレスに関連する症状が見られたりする割合がやや高かったといいます。一方で、協調性の高い飼い主の猫は、より満足した様子で暮らしている傾向があったとされています。
これは、猫の性格が飼い主に似るというより、飼い主の接し方や家庭の雰囲気が、猫の暮らしに影響していると考えられています。人間の子どもが親の影響を受けるのと同じように、猫も、一緒に暮らす人の影響を受けているのかもしれません。
つまり、猫の性格や行動は、飼い主次第で変わる部分があるということです。猫がいつも落ち着かない、よく隠れているという場合は、家の中の環境や、飼い主の接し方を見直してみるとよいでしょう。猫に好かれる接し方については、「猫に嫌われる飼い主・好かれる飼い主の違い|信頼関係を築く7つの習慣」で詳しく紹介しています。
「性格が悪い」と言われたときの受け止め方
もし、猫を飼っていることで「性格悪そう」と言われたら、どう受け止めればいいのでしょうか。
| 言われた言葉 | 受け止め方のヒント |
|---|---|
| 「猫好きって性格悪そう」 | イメージだけの偏見。研究でも根拠はないと知っておく |
| 「猫派って冷たいよね」 | 距離感を大切にしているだけ。無理に変える必要はない |
| 「付き合い悪いのは猫のせい?」 | 一人の時間は大切な充電時間。必要な付き合いは大切にする |
| 「猫みたいに自分勝手」 | 自分の考えを持っている証拠。ただし相手への配慮は忘れずに |
多くの場合、こうした言葉は冗談半分で言われているものです。真に受けて落ち込む必要はありません。「そうかもね、猫と暮らしているとマイペースになるのかも」と、笑って受け流すくらいがちょうどいいでしょう。
ただ、周りの人に誤解されやすい面があるのも事実です。付き合いを断るときは理由をひとこと添える、相手の話にもきちんと興味を示すなど、少しの気配りで、「猫好きって、実は優しい人が多いんだな」と思ってもらえるかもしれません。猫好きの言動が周りにどう見えているかについては、「愛猫家が「気持ち悪い」と言われる7つの理由|猫好きが見直したいふるまい」も参考にしてください。
猫飼いに多いといわれる本当の長所
「性格が悪い」というイメージとは反対に、猫と暮らす人には、周りから見えにくい長所がたくさんあります。猫好き同士でよく話題になる「猫飼いのいいところ」を挙げてみましょう。
- 相手の「嫌」を尊重できる:猫が嫌がったらすぐにやめる習慣があるため、人に対しても無理強いをしにくい
- 細かな変化によく気づく:同僚の顔色や友人の元気のなさに、いち早く気づいて声をかけられる
- ひとりで抱え込まず、ひとりを楽しめる:一人の時間を苦にせず、自分の機嫌を自分でとれる
- 我慢強く、根気がある:懐くまで何か月も待つ、介護を何年も続けるなど、長い目で物事に向き合える
- 生活が規則正しい:猫のごはんやトイレ掃除の時間に合わせて、自然と生活リズムが整う
こうした長所は、派手さはありませんが、一緒に働いたり暮らしたりする相手としては、とても頼もしいものです。「猫好きの同僚は、さりげなくフォローしてくれる」「猫を飼っている友人は、話をじっくり聞いてくれる」。そんな声を聞くことも少なくありません。
もちろん、これも一人ひとり違います。ただ、猫と暮らす日々が、人の優しさや気配りを育てる一面を持っていることは、猫好きとして胸を張っていいことだと思います。
誤解を招きやすいふるまいと、ちょっとした工夫
とはいえ、猫飼いの性質が、ときに周りとのすれ違いを生んでしまうのも事実です。誤解を招きやすいふるまいと、印象を良くするための小さな工夫をまとめました。
| 誤解を招きやすいふるまい | ちょっとした工夫 |
|---|---|
| 誘いを「猫がいるので」とだけ言って断る | 「今回は難しいけど、次はぜひ」と前向きなひとことを添える |
| 雑談にあまり加わらない | 相手の話に質問を一つ返すだけでも、印象は変わる |
| 感情をあまり表に出さない | うれしいときは「ありがとう」「助かった」と言葉にする |
| 自分のペースを崩さない | 締め切りや約束など、相手に関わることは早めに共有する |
どれも、性格を無理に変える必要はありません。自分らしさはそのままに、相手に伝わる形を少し工夫するだけで、「冷たい人」ではなく「落ち着いていて信頼できる人」という印象に変わっていきます。
猫も、しっぽの形や耳の向き、ゆっくりしたまばたきで、自分の気持ちを伝えてくれます。猫のように言葉少なでも、ほんの少しだけ気持ちを表に出してみる。それが、猫好きの良さを周りに知ってもらう、いちばんの近道かもしれません。
猫飼いの性格についてよくある質問
-
Q猫好きは本当に内向的な人が多いのですか?
-
A海外の研究では、平均すると猫派のほうが犬派より内向的な傾向があると報告されています。ただし、差はそれほど大きくなく、社交的な猫好きもたくさんいます。散歩のいらない猫はインドアで過ごす時間と相性がよく、家で過ごすのが好きな人に選ばれやすい、という面もあるのかもしれません。
-
Q猫派のほうが頭がいいというのは本当ですか?
-
Aアメリカのキャロル大学の調査で、猫派のほうが知能テストの得点がやや高かったという結果が報告されています。ただし、対象は大学生約600人で、差もわずかでした。この結果だけで「猫派は頭がいい」と言い切ることはできません。話のネタとして楽しむくらいがちょうどよいでしょう。
-
Q犬も猫も好きな人は、どちらの性格に近いのですか?
-
A研究の多くは、「犬派」「猫派」と自分で答えた人を比べたもので、両方が好きな人については、あまり詳しくわかっていません。実際には、犬と猫の両方と暮らしている人や、どちらも好きな人もたくさんいます。ペットの好みで性格を二分することには、そもそも限界があると考えておくとよいでしょう。
まとめ:猫飼いの性格は「悪い」のではなく「誤解されやすい」だけ
「猫を飼っている人は性格が悪い」というのは、猫のイメージを飼い主に重ねた偏見にすぎません。研究でわかっているのは、性格の良し悪しではなく、どんなタイプが多いかという傾向です。
- 「猫飼いは性格が悪い」という科学的な根拠はない
- 研究では、猫派は開放性が高く、内向的で繊細な傾向が見られた
- 一人の時間を大切にする、距離感を尊重するといった性質が、冷たい・付き合いが悪いと誤解されやすい
- 猫との暮らしは、観察力や待つ力、相手を尊重する心を育ててくれる
- 飼い主の性格や接し方は、猫の暮らしにも影響する
- 性格は個人差が大きく、ペットの好みで決めつけるのは偏見
猫と暮らしていることを、恥じる必要はまったくありません。猫がくれた観察力や優しさを、周りの人との関係にも生かしていけば、「猫好きっていい人だな」と思ってもらえる日は、きっと来るはずです。

