ついさっきまで息をしていた愛猫が、もう動かない。覚悟していたつもりでも、いざそのときを迎えると、頭が真っ白になって、何をすればいいのかわからなくなるものです。涙が止まらないまま、この記事を開いてくださった方もいるかもしれません。
まずは、深呼吸をしてください。今すぐに決めなければならないことは、それほど多くありません。亡くなった直後にしてあげたいのは、体を整えて、きれいにして、涼しい場所に寝かせてあげることです。火葬や手続きのことは、そのあとで、家族と相談しながらゆっくり決めていけば大丈夫です。
この記事では、愛猫が亡くなった直後から、安置、お別れの時間、火葬・埋葬の方法と費用の目安、葬儀社の選び方、マイクロチップの死亡届などの手続き、そして供養の方法までを、順番にまとめました。今必要なところから読んでください。
この記事でわかること
- 亡くなった直後にしてあげたいこと(体を整える・安置する)
- 季節ごとの安置の日数の目安
- 火葬・埋葬の方法と費用の目安、葬儀社の選び方
- マイクロチップの死亡届、ペット保険などの手続き
- 遺骨や遺品の供養の方法
結論:まずは体を整えて、涼しい場所に寝かせてあげる
愛猫が亡くなったら、最初の数時間でしてあげたいことは、次の3つです。
- 体を整える:まぶたと口をそっと閉じ、手足を眠っているときのように軽く曲げる
- 体を清める:濡らしたガーゼで顔やお尻を拭き、ブラシで毛を整える
- 冷やして安置する:段ボールなどに寝かせ、タオルで包んだ保冷剤で体を冷やす
猫の体は、亡くなってから1〜2時間ほどで死後硬直が始まります。体を整えるのは、できれば硬直が始まる前にしてあげると、自然な寝姿で見送ることができます。もし硬直が始まってしまっていても、無理に動かす必要はありません。多くの場合、1〜2日たつと体は再びやわらかくなります。
火葬や埋葬の準備は、安置をしてから考えれば十分に間に合います。夏場を除けば、きちんと冷やしていれば1〜3日ほどは自宅で一緒に過ごせます。家族が集まる時間をつくり、ゆっくりお別れをしてあげてください。
動物病院で亡くなった場合は、病院でエンゼルケア(体をきれいにする処置)をしてもらえることもあります。病院から連れて帰るときは、タオルで包んでキャリーや箱に入れ、なるべく平らな状態で運びましょう。
亡くなってからの流れ
愛猫が亡くなってから、お見送りをして、供養や手続きを終えるまでの流れを、時間の順に整理しました。

すべてを一度にしようとしなくて大丈夫です。まずは体を整えて安置すること。それができたら、家族でお別れの時間を過ごしながら、火葬や埋葬の方法を話し合いましょう。手続きは、火葬や埋葬が終わってから、気持ちが少し落ち着いたころに進めれば間に合います。
家族の中に、最期に立ち会えなかった人がいる場合は、帰ってくるまで待ってあげることもできます。きちんと冷やしていれば、慌てて火葬の予約をする必要はありません。家族みんなが「ありがとう」を伝えられる時間をつくってあげることも、大切なお見送りの一部です。
体を整えて安置する手順
安置は、愛猫の体を清潔に保ち、きれいな姿のままお別れするための大切な準備です。次の手順で進めましょう。

姿勢を整えるときは、まぶたが開いている場合は指でそっとなでるように閉じ、口が開いている場合はあごを軽く支えて閉じます。手足は、丸くなって眠っているときのように、やさしく曲げてあげましょう。体がまっすぐ伸びたまま硬直してしまうと、用意した箱に収まらなかったり、火葬のときに困ったりすることがあります。
体を清めるときは、ぬるま湯で濡らしたガーゼやタオルで、目やに、口のまわり、お尻などの汚れをやさしく拭き取ります。亡くなったあとは、口や鼻、お尻から体液が出てくることがあります。これは自然なことなので、驚かずに、ガーゼやペットシーツで受け止めてあげてください。最後にブラシで毛並みを整えると、ふだんの姿に近づきます。
寝床をつくるときは、段ボール箱やかごに、ペットシーツを敷き、その上にタオルや、猫が使っていた毛布を重ねます。体液で汚れても大丈夫なように、ペットシーツは多めに敷いておきましょう。
冷やして安置するときは、保冷剤やドライアイスをタオルで包み、お腹と頭のまわりに当てます。内臓がある胸とお腹を中心に冷やすのがポイントです。直接肌に当てると、毛や皮膚が濡れてしまうので、必ずタオルで包んでください。部屋はエアコンで涼しく保ち、直射日光の当たらない場所に置きましょう。
安置できる日数の目安
自宅で安置できる日数は、季節や部屋の温度、冷やし方によって変わります。目安は次のとおりです。
| 季節 | 安置の目安 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 夏(気温が高い時期) | 1〜2日程度 | エアコンで部屋を涼しくし、保冷剤をこまめに交換する |
| 春・秋 | 2日程度 | 日中の気温が高い日は、夏と同じように冷やす |
| 冬(気温が低い時期) | 2〜3日程度 | 暖房の効いた部屋は避け、涼しい部屋に置く |
保冷剤は、溶けてきたら交換しましょう。1日に1〜2回を目安に、新しいものと取り替えます。ドライアイスを使う場合は、直接さわるとやけどをするので、必ず手袋をして扱い、タオルや新聞紙で包んでから使ってください。狭い部屋で大量に使うと、二酸化炭素がたまって危険なので、換気にも気をつけましょう。
安置している間は、ほかのペットや小さな子どもが、体にさわったり、保冷剤をいたずらしたりしないように見守ってあげましょう。多頭飼いの場合は、ほかの猫に亡くなった猫のにおいを嗅がせて、お別れをさせてあげるのもよいといわれています。
安置の日数を過ぎそうなときや、体の状態が心配なときは、ペット葬儀社に相談しましょう。安置用の保冷設備を持っている葬儀社もあります。
お別れの時間の過ごし方
安置ができたら、家族で愛猫とお別れの時間を過ごしましょう。決まった形はありません。それぞれの家族らしい見送り方で大丈夫です。
- 体をなでて、話しかける:「ありがとう」「がんばったね」と、伝えたい言葉を伝える
- 好きだったものをそばに置く:お気に入りのおもちゃ、毛布、好きだったおやつなど
- お花を飾る:ユリは猫に有毒なので、ほかの猫がいる家では避けましょう
- 写真を撮る・毛を少し残す:形見として、毛を少し切って残しておく人も多い
- 手紙を書く:家族それぞれが愛猫への手紙を書き、一緒に見送る
火葬のときに一緒に入れたいものがある場合は、事前に葬儀社に確認しておきましょう。プラスチックや金属、缶詰などは、火葬炉を傷めたり、お骨に影響したりするため、入れられないことがあります。お花や手紙、少量のフードなど、燃えやすいものを選ぶのが一般的です。
悲しい気持ちを、無理に抑える必要はありません。たくさん泣いて、たくさん思い出を語り合ってください。その時間は、あとから振り返ったときに、きっと大切な記憶になります。
火葬・埋葬の方法と費用
愛猫の見送り方には、いくつかの方法があります。家族の気持ちや、お骨をどうしたいか、費用などを考えて選びましょう。

合同火葬は、ほかのペットと一緒に火葬し、合同の供養塔などに納骨する方法です。費用は比較的おさえられますが、お骨は返ってこないことがほとんどです。
個別一任火葬は、1匹ずつ火葬し、お骨を骨壺に納めて返してもらえる方法です。火葬には立ち会わず、葬儀社にお任せします。お骨を自宅に置いて手元で供養したい方に選ばれています。
個別立会火葬は、家族が火葬に立ち会い、最後のお別れをしてから火葬し、自分たちでお骨上げができる方法です。人の葬儀に近い形で見送りたい方に向いています。
このほか、火葬炉を積んだ車が自宅の近くまで来てくれる訪問火葬という方法もあります。移動の負担が少ない一方、住宅地での火葬になるため、近所への配慮や、業者選びには注意が必要です。
自治体の引き取りは、費用がおさえられる一方で、返骨や供養がないことが多く、自治体によっては一般廃棄物として扱われる場合もあります。どのような扱いになるかは、お住まいの自治体に確認してから決めましょう。
どの方法を選ぶかに、正解はありません。お骨をそばに置いておきたいのか、ほかの子たちと一緒に眠らせてあげたいのか、家族の気持ちを話し合って決めることが大切です。費用だけで選んで後悔しないよう、それぞれの方法で何ができて何ができないのかを、葬儀社に確認しておきましょう。
ペット葬儀社の選び方
ペット葬儀社は数が多く、サービスや料金もさまざまです。後悔しないために、次のような点を確認しましょう。
- 料金が明確か:火葬の方法ごとの料金、骨壺や送迎などの追加料金を事前に確認する
- 見積もりを出してくれるか:電話やメールの段階で、総額を教えてくれるか
- 説明がていねいか:質問にきちんと答えてくれるか、急かしてこないか
- 施設や火葬炉の場所:固定の施設があるか、訪問火葬の場合はどこで火葬するのか
- 口コミや評判:実際に利用した人の声、かかりつけの動物病院の紹介
悲しみの中で、急いで葬儀社を決めてしまい、後から高額な追加料金を請求されたというトラブルも報告されています。安置がきちんとできていれば、1〜2日は考える時間があります。できれば2〜3社に問い合わせて、料金や対応を比べてから決めましょう。かかりつけの動物病院に、信頼できる葬儀社を紹介してもらうのもおすすめです。
元気なうちから、万一のときにどこにお願いするかを調べておくと、そのときになって慌てずに済みます。シニア猫と暮らしている方は、看取りの準備とあわせて考えておくとよいでしょう。看取りについては「愛猫の最期に後悔しないために|老猫の看取りで飼い主ができること」で紹介しています。
自宅の庭に埋葬する場合の注意
自宅に庭がある場合は、庭に埋葬して、いつもそばで眠ってもらいたいと考える方もいるでしょう。自分の土地であれば、ペットを埋葬することは一般的に認められていますが、いくつか注意点があります。
- 自分の土地に限る:公園や河川敷、山林など、他人の土地や公共の場所に埋めることはできない
- 深く掘る:ほかの動物に掘り返されたり、においが出たりしないよう、1メートル程度の深さを目安に
- 自然に還る素材で包む:ビニールやプラスチックは避け、綿のタオルや木綿の布で包む
- 水源や隣の家から離す:井戸や畑の近く、隣の家との境界の近くは避ける
- 将来のことも考える:引っ越しや土地の売却のときに、どうするかを考えておく
賃貸住宅の庭や、マンションの共用部分に埋葬することはできません。また、将来引っ越す可能性がある場合は、火葬してお骨を手元に置いたり、ペット霊園に納骨したりするほうが、ずっとそばにいてもらえるかもしれません。
火葬したお骨を庭に埋める方法もあります。この場合は、においや衛生面の心配がほとんどなく、骨壺のまま、または土に還る素材の袋に入れて埋葬します。
忘れずにしたい手続き
火葬や埋葬が終わったら、気持ちが少し落ち着いたころに、次のような手続きを進めましょう。犬と違い、猫の場合は自治体への死亡届は必要ありませんが、マイクロチップを装着している場合は届出が必要です。
| 手続き | 内容 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| マイクロチップの死亡届 | 装着・登録している場合は、指定登録機関に死亡の届出をする | 亡くなってから30日以内 |
| ペット保険の連絡 | 保険会社に連絡し、解約の手続き。未請求の治療費があれば請求 | 早めに |
| かかりつけ病院への連絡 | 通院中だった場合は報告。予約の取り消しも | 落ち着いてから |
| 定期購入のキャンセル | フードや猫砂、療法食の定期便を止める | 次回の発送日前に |
| ペットホテル・サロンの予約 | 入っている予約を取り消す | 気づいたときに |
マイクロチップの死亡届は、インターネットで手続きできます。登録証明書の番号などが必要になるので、書類を探しておきましょう。マイクロチップの登録については「猫のマイクロチップは義務?費用・登録方法」で紹介しています。ペット保険の解約については、保険会社ごとに手続きが違うので、契約内容を確認してください。
遺骨と遺品の供養
火葬が終わったあとの供養の方法も、家族によってさまざまです。「こうしなければいけない」という決まりはないので、自分たちが心から納得できる方法を選びましょう。
- 手元供養:骨壺を自宅に置き、写真やお花を飾って、毎日話しかける
- ペット霊園への納骨:個別の区画や納骨堂に納める。お参りに行ける場所ができる
- 合同墓・供養塔:ほかのペットと一緒に眠る。管理の手間がかからない
- 分骨:お骨の一部を小さな容器やアクセサリーに入れて、身につける
- 庭への埋葬:火葬したお骨を、自宅の庭に埋めて眠ってもらう
骨壺をいつまで自宅に置いておくか、迷う方も多いようです。四十九日や一周忌を区切りに納骨する人もいれば、ずっと手元に置いておく人もいます。気持ちの整理がつくまで、無理に決める必要はありません。
遺品も、急いで片付ける必要はありません。ベッドや食器、おもちゃを見るのがつらいと感じる人もいれば、そのまま置いておきたいと感じる人もいます。まだ使えるフードや猫砂、グッズは、保護団体に寄付すると、ほかの猫たちの役に立ちます。寄付を受け付けているかは、団体に確認してから送りましょう。
ほかのペットや子どもへの配慮
家族の中には、ほかのペットや小さな子どもがいることもあるでしょう。それぞれに合った配慮をしてあげてください。
| 家族 | 配慮したいこと |
|---|---|
| ほかの猫 | 亡くなった猫のにおいを嗅がせてお別れさせる。しばらく元気や食欲に変化がないか見守る |
| 小さな子ども | 「遠くに行った」などとごまかさず、年齢に合わせて「死」をやさしく伝える |
| 高齢の家族 | 生活の張り合いを失うことも。一緒に思い出を語る時間をつくる |
多頭飼いの家庭では、残された猫が仲間を探して鳴いたり、食欲が落ちたりすることがあります。いつもより声をかけたり、一緒に遊んだりして、残された猫の気持ちにも寄り添ってあげましょう。数日たっても食欲が戻らない場合は、動物病院に相談してください。
子どもにとって、ペットとの別れは、命の大切さを知る大切な経験になります。悲しんでいる子どもには、「悲しいのは、それだけ大切だったからだよ」と伝えて、気持ちを受け止めてあげましょう。
元気なうちに準備しておくと慌てないこと
この記事を、愛猫がまだ元気なうちに読んでくださっている方もいるかもしれません。縁起でもないと感じるかもしれませんが、少しだけ準備をしておくと、そのときに慌てず、落ち着いて見送ることができます。
- 葬儀社を調べておく:近くのペット霊園や葬儀社の場所、料金、連絡先を控えておく
- 家族で希望を話し合う:火葬の方法、お骨をどうしたいか、庭に埋葬したいかなど
- 安置に使うものを知っておく:保冷剤、タオル、ペットシーツ、段ボール箱など、家にあるもので足りる
- 書類の場所を確認する:マイクロチップの登録証明書、ペット保険の証券など
- 写真や動画を残しておく:元気なうちの何気ない姿は、あとでかけがえのない宝物になる
特にシニア猫や、病気で闘病中の猫と暮らしている場合は、かかりつけの獣医師と、最期をどこでどう迎えたいかを話し合っておくことも大切です。自宅で看取りたいのか、病院で最後まで治療を続けたいのか。家族の気持ちを共有しておくと、いざというときに迷わずに済みます。
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愛猫が亡くなったときのよくある質問
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Q夜中に亡くなりました。すぐに何かしなければいけませんか?
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A夜中にすぐ連絡しなければならない場所はありません。まぶたと口を閉じて体を整え、タオルで包んだ保冷剤で冷やし、涼しい部屋に寝かせてあげてください。葬儀社への連絡や手続きは、朝になって気持ちが少し落ち着いてからで大丈夫です。
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Q目が閉じられません。どうすればいいですか?
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A猫は亡くなったあと、目が完全には閉じないことがよくあります。まぶたをやさしくなでるように閉じてみて、閉じない場合は、濡らしたガーゼをしばらくまぶたの上にのせておくと閉じやすくなることがあります。無理に閉じようとしなくても大丈夫です。
-
Q次の猫を迎えるのは、いつごろがよいですか?
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A決まった時期はありません。すぐに新しい猫を迎えることで気持ちが救われる人もいれば、何年もたってから迎える人もいます。「前の子に悪い」と感じる必要はありません。自分の気持ちが自然に向いたときが、迎えるタイミングです。
まとめ:一つずつ、心を込めて見送ろう
愛猫が亡くなった直後は、悲しみで何も考えられなくなるものです。でも、今すぐにしなければならないことは多くありません。一つずつ、心を込めて見送ってあげましょう。
- まずはまぶたと口を閉じ、手足を軽く曲げて体を整える。硬直は1〜2時間で始まる
- 体を清め、タオルで包んだ保冷剤でお腹と頭を冷やして、涼しい部屋に安置する
- 安置できるのは夏で1〜2日、冬で2〜3日程度が目安
- 火葬は合同・個別一任・個別立会などから選ぶ。葬儀社は料金を確認して比べる
- マイクロチップを登録していた場合は、30日以内に死亡届を出す
- 供養の方法や遺品の整理は、気持ちが落ち着いてから決めればよい
たくさんの思い出をくれた愛猫に、「ありがとう」を伝える時間を大切にしてください。悲しみが深いのは、それだけたくさんの愛情を注いできた証です。どうか無理をせず、自分の心もいたわってあげてください。

